遺品整理はいつから始める?相続の期限と賃貸の退去から考える段取り

遺品整理を始める時期に、決まった正解はありません。賃貸住宅なら早めに、持ち家ならご家族の気持ちが落ち着いてからが目安です。ただし、相続放棄を考えている場合は、物を売ったり捨てたりする前に専門家へ相談してください。相続の手続きには期限があるため、貴重品と書類の確認だけは早めに済ませておくと安心です。
この記事では、四十九日や相続の期限、賃貸の退去といった「急ぐ事情」から逆算して、遺品整理の段取りを決める考え方をまとめます。
遺品整理はいつから始めるのがいい?
始める時期は、「急ぐ事情があるかどうか」で決まります。遺品整理とは、亡くなった方が使っていた家具や衣類、書類などを、残す物と手放す物に分けて片付けることです。住まいの状況ごとの目安は、次のとおりです。
| 状況 | 始める目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 賃貸住宅に住んでいた | 早めに貸主・管理会社へ連絡し、退去日を決める | 部屋を借りる権利は相続人に引き継がれ、解約や明け渡しの手続きが別に必要になるため |
| 施設・病院の部屋に荷物がある | 施設に退去の期限を確認してから | 退去の期限や手続きは施設ごとに違うため |
| 持ち家・実家 | ご家族の気持ちと予定が整ってから | 退去の期限がなく、時間をかけて残す物を選べるため |
| 相続放棄を考えている | 専門家に相談して、片付けを進めてよいか確かめてから | 相続財産を処分すると、相続を認めたとみなされることがあるため(下で説明します) |
四十九日の法要など、親族が集まる日に合わせて形見分けを相談するご家庭もあります。どの時期が良いかは、宗教や地域、ご家族の考え方によって違うので、関わる方と話し合って決めるのがいちばんです。
遺品整理の前に知っておきたい「期限」は?
遺品整理そのものに決まった期限はありませんが(賃貸の退去日などは別です)、亡くなった後の手続きには法律で期限が決まっているものがあります。主なものを、期限の短い順に並べます。
| 手続き | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 死亡届 | 死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は、その事実を知った日から3か月以内) | 戸籍法 第86条第1項 |
| 相続放棄・限定承認 | 自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内 | 民法 第915条第1項 |
| 準確定申告(亡くなった方の所得税の申告) | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 | 所得税法 第124条・第125条 |
| 相続税の申告(相続税がかかる場合) | 相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内 | 相続税法 第27条第1項 |
※2026年10月時点の法令の条文と、裁判所・国税庁の案内で確認した内容です。この表は主なものだけで、年金や健康保険などにも期限のある手続きがあります。市区町村の窓口などでご確認ください。準確定申告は、亡くなった方に申告が必要な所得があった場合などの手続きです。ご自身のケースで必要かどうかは、税務署や税理士、司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。
これらの手続きでは、通帳や保険の書類、税金の通知など、家の中にある書類が必要になることがあります。家具や衣類の片付けは後回しでも、書類と貴重品の確認だけは早めに始めておくと、期限に追われにくくなります。
相続放棄を考えているなら、片付けで気を付けることは?
相続放棄を少しでも考えているなら、遺品を売る・捨てる・形見分けで持ち帰るといったことの前に、弁護士・司法書士に相談してください。相続放棄とは、亡くなった方の財産も借金も、すべて受け継がないことです。家庭裁判所に申述して行います(民法 第938条)。
民法 第921条第1号は、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」は、単純承認(財産も借金もすべて受け継ぐこと)をしたものとみなす、と定めています。ただし書きで「保存行為」などは除かれていますが、どこまでが処分にあたるかは、物や状況によって判断が分かれることがあります。
- 亡くなった方に借金があるかもしれない
- 財産と借金のどちらが多いか分からない
- 相続人どうしで方針が決まっていない
このような場合は、片付けの前に、家庭裁判所の案内を確認するか、弁護士・司法書士に相談してください。裁判所の案内では、3か月以内に相続財産を調べても判断できないときは、期間を延ばす申立て(期間の伸長)ができるとされています。
また、民法は放棄した後のことも定めています。放棄の時に手元にある相続財産は、次に相続人となる方などに引き渡すまで保存しなければならないとされています(民法 第940条第1項)。まだ使える物を有価物として選び出し、作業費と相殺する片付けも、物を手放すことに変わりはありません。相続放棄を考えている場合は、片付けを進めてよいかを専門家に確かめてからご相談ください。
遺品整理で最初に探しておきたい物は?
最初に探すのは、遺言書と、手続きに使う書類・貴重品です。大きな家具より先に、次の物を一か所にまとめておきましょう。
- 遺言書:封がしてあるものは開けずに、そのまま保管します(理由は下で説明します)
- 通帳・キャッシュカード・印鑑:口座の手続きに使うことがあります
- 保険証券・年金の書類:保険金の請求や年金の手続きに使うことがあります
- 不動産の権利証・固定資産税の通知書:持ち家や土地がある場合
- 請求書・契約書:電気・ガス・水道、携帯電話、各種サービスの解約の手がかりになります
- 鍵・写真・思い出の品:形見分けで親族と相談したい物
遺言書については、民法 第1004条第3項で「封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない」と定められています。家庭裁判所の外で開封すると、5万円以下の過料の対象になります(同法 第1005条)。裁判所の案内では、遺言書を見つけた相続人は家庭裁判所に「検認」を請求する必要があり、公正証書による遺言と、法務局で保管されている自筆の遺言書(遺言書情報証明書が交付されるもの)は検認がいらないとされています。
賃貸の部屋の遺品整理は、どんな順番で進める?
賃貸の場合は、最初に貸主・管理会社へ連絡し、退去日を決めてから逆算するのが基本です。国土交通省「残置物の処理等に関する契約の活用手引き」では、賃借人が亡くなると、部屋を借りる権利(賃借権)と、部屋に残された家財(残置物)の所有権は、その相続人に引き継がれると説明されています(要約)。残置物とは、退去後の部屋に残された家具や生活用品などのことです。
- 貸主・管理会社に連絡し、解約の手続きと退去日、明け渡しの条件を確認する(故人が、契約の解除や残置物の処理を誰かに任せる契約を結んでいなかったかもあわせて確認する)
- 遺言書・書類・貴重品を探して持ち出す
- 親族で形見分けをして、残す物を運び出す
- 残りの家財の片付けを依頼する(日程は退去日から逆算)
- 退去の立会いをして、鍵を返す
相続放棄を考えている場合は、解約や形見分け・片付けを進める前に、上の「相続放棄を考えているなら」を確認し、弁護士・司法書士にご相談ください。
退去日が近いのに物が多い場合は、残す物だけ先に決めて、あとの仕分けと運び出しをまとめて頼むと間に合いやすくなります。退去の片付けについては残置物の撤去のページもご覧ください。
実家(持ち家)の遺品整理は、いつまでに終えればいい?
持ち家の場合、遺品整理をいつまでに終えなければならない、という期限はありません。そのぶん、何年も手付かずのままになってしまうこともあります。次のような区切りを決めておくと進めやすくなります。
- 親族が集まる法要の日に、形見分けだけ済ませる
- 家を売る・貸す・解体するなど、家の今後を決めた時期に合わせる
- 季節ごとに「今回はこの部屋だけ」と範囲を区切る
相続放棄を考えている場合は、形見分けや片付け、家の売却・解体を進める前に、上の「相続放棄を考えているなら」を確認し、弁護士・司法書士にご相談ください。
家の今後まで含めて考えたい場合は、実家じまい・空き家の片付けのページにまとめています。ペガサスグループは解体工事の会社が運営しており、解体工事とあわせてのご依頼なら、残置物の撤去・処分費は無料です。
遺品整理を頼むなら、いつ相談すればいい?
相談は、退去日や家の今後の予定が見えてきた時点で早めにしておくのがおすすめです。見積りを先に取っておくと、何人で作業するかが分かり、日程を組みやすくなります。相続人が複数いる場合は、残す物と手放す物を相続人どうしで話し合って決めてからご依頼いただくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。
ペガサスグループの料金は、作業するスタッフの人数で決まる労務費が基本です。お客様と一緒に仕分けを進める「お手伝いスタッフ」は1人・1現場あたり11,000円〜(税込)、仕分けの指示だけいただいて弊社が進める「お任せスタッフ」は1人・1現場あたり13,200円〜(税込)で、金額は物の量や作業の内容によって変わります。まだ使える物は古物商許可にもとづいて「有価物」として選び出し、その買取価格を作業費と相殺します。残りの物も、分別・袋詰めから運び出しまでまとめてお引き受けします。
お見積り・出張費は無料で、現場を見てからお見積りをご提示し、作業後の追加請求はありません(お見積りに入っていない物が当日に出てきた場合は、その場で別途ご相談します)。遺品整理の進め方は遺品整理のページでご紹介しています。
よくある質問
Q. 四十九日より前に遺品整理を始めてもいいですか?
A. 時期の受け止め方は、宗教や地域、ご家族の考え方によって違います。親族と相談して決めるのがおすすめです。賃貸の退去日が迫っているなど急ぐ事情がある場合は、遺言書・書類・貴重品の確認だけ先に進め、形見分けは法要の日に行う方法もあります。
Q. 相続放棄の期限(3か月)に判断が間に合いそうにありません。
A. 裁判所の案内では、3か月以内に相続財産の状況を調べても判断できない場合、家庭裁判所に期間を延ばす申立て(相続の承認又は放棄の期間の伸長)ができるとされています。期限を過ぎる前に、家庭裁判所や弁護士・司法書士にご相談ください。
Q. 片付けの途中で遺言書が出てきたら、どうすればいいですか?
A. 封がしてあるかどうかにかかわらず、家庭裁判所に検認を請求します(封がしてある場合は開けずに保管します)。公正証書による遺言や、法務局で保管されている遺言書(遺言書情報証明書が交付されるもの)は検認がいりません。申立先は、遺言者(亡くなった方)の最後の住所地の家庭裁判所です。手続きは裁判所のサイトでご確認ください。
Q. まだ片付けの日程が決まっていなくても、見積りだけ頼めますか?
A. はい。お見積り・出張費は無料です。スタッフが現場を見てからお見積りをご提示し、ご納得いただいてから作業に入りますので、お見積りの後にお断りいただいても構いません。
遺品整理は、気持ちの面でも量の面でも大変な作業です。何から手を付ければいいか分からないときは、お部屋の写真を送っていただくだけでもご相談いただけます。お問い合わせから、お気軽にどうぞ。